リスク考察
.netと.org——古典種の黄昏
.comと同じ1985年に誕生した.netと.orgは、インターネットの最古参に属する。.netは「ネットワーク関連組織」、.orgは「非営利団体」という当初の用途制限はとうに形骸化したが、それぞれ異なる軌道で存在感を変えてきた。
.orgは2019年、管理団体PIR(Public Interest Registry)がEthos Capitalという投資ファンドへ売却されようとした事件で注目を浴びた。非営利ドメインの管理が営利目的の投資ファンドに渡ることへの強い反発が世界中から起こり、ICANNが売却を阻止した。この騒動は、ドメインのガバナンスが公共財としての性質を持つことを再認識させた。
.netの方は、より静かな衰退を辿っている。かつてはISPやインフラ企業が好んで使用したが、現在では「.comが取れなかった場合の次善策」という認識が定着している。登録数は維持されているものの、新規に.netを「第一志望」として選ぶケースは稀だ。
両者は「使われ続けるが選ばれない」という共通の生態的地位に収束しつつある。絶滅はしないが、新たな個体が増えない——古典種の黄昏とはこういうものかもしれない。